女性役員割合アップへ 第27回国際女性ビジネス会議

欧米の女性役員比率アップのキャンペーン

オンライン開催であった第27回国際女性ビジネス会議円卓会議の出席者が自ら聴きたいセッションを選択する円卓会議”Women on Boards, global update”に参加した。米国カリフォルニア州は、すべての上場企業に、2021年末までに3人以上の女性取締役の選任を義務付けた。法律制定の立役者となった女性リーダーBetsy Berkhemer-Credaire氏が登壇した。

イギリスからは、女性役員比率30%を普及するキャンペーンを展開するMastercard取締役副会長Ann Cairns氏が、フィンランドからは駐日ノルウェー大使Inga M. W. Nyhamar氏が登壇し、直接話を聴く機会に恵まれた。日本では女性が企業の役員に占める割合、国会議員に占める割合などジェンダーギャップに関する指標が156か国中120位と著しく低い事実があり、このような割合を増加するのにどんな施策を採るべきか質問してみた。ノルウェイでは、Gender Quota Lawが制定され、上場企業は少なくとも40%は“各”性別から役員を選任することが義務付けられ2019年までには達成したという。ちなみに、イギリスは、Gender Quota Lawを制定せずとも、40%を達成したことも紹介された。2021年8月、NASDAQは、上場企業の取締役「1人は女性に」と新規則を制定、発表した。

出所 第27回国際女性ビジネス会議 Drive Diversity Program p.46 https://www.women.co.jp/conf/

責任あるポジションに就くのは男性も怖い

会場からの日本の女性は責任ある地位に就くことに恐れを抱いてしまいがちです。との質問者からの発言に対して、Ann氏は、若いころエネルギー産業の会社に入社し、ヘリコプターからジャンプする訓練が行われた際に、46人の男性と1人と女性のうち教官から最初にジャンプするように促されたエピソードを披露した。教官は「身体の小さい女性のあなたがジャンプすれば、他の多くの男性は怯えているけど勇気を出せるから」と説得したという。役員登用も同じことで男性だって怖い。

女性リーダーが当たり前の社会

イギリスのメイ首相の時代に教員であるAnn氏の夫は、11歳の男の子に「男の子では首相になれないの?」と教室で質問されたという微笑ましい会話の紹介で場を和ませる場面も。日本の道のりは長そうな中、「日本の女性はもっと上を求めるべき。」Japanese women to ask for more. Ann氏は、叱咤激励されたのだと思う。

打ち手は?

戦略的なネットワーキングが大切よ。欧米のトップリーダーたちは文化的にも異なりかなり先まで到達している日本にとってはベストプラクティスとしての存在。2021年3月期決算の上場企業2,220社の女性役員数は1,835人、比率は7.4%。前年度比20.8%増加。一方で、女性役員のいない上場企業は43.4%。経団連は、2030年までに企業の役員の女性比率30%以上の目標を掲げている*。

日本の女性リーダーの育成は企業だけではなく、義務教育の段階などもっと根幹なところから育てないといけないのではないか。

*東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200811_02.html

 

吉野家の常勤取締役企画本部長(当時)の女性蔑視発言が象徴するもの

 

生娘をシャブ漬け戦略とは

早稲田大学の社会人向けマーケティング講座で、常勤取締役企画本部長の伊藤正明氏が、都市部で、主に食費を抑える必要のある学生か収入が多くない社会人が想定される10代から20代の女性に対する吉野家の牛丼の売り上げ向上をする施策を、女性の経済的社会的地位の低さを暗喩するような表現で語ったことが報じられました。株式会社吉野家ホールディングスは取締役解任の決議を即断し公表しました。

日本社会のジェンダー課題を象徴

解釈の仕方によっては、この男性取締役が、いかに女性を経済的社会的に低く見て、彼女らを一般化した「ターゲット層」としているかが伺えます。シャブ漬けとは、薬物乱用を指す隠語であり、「牛丼を好きになって繰り返し食べたくなる状態」を表現するために明らかに不適切でした。また、同時に地方から出てきて右も左もわからない女性という出身地についても言及。「男性に高い食事をおごってもらうまでのあいだにシャブ漬けにする」とは、都会生活を続けても女性は、経済的に自立するのが難しいと明言しているのか。女性としては、不快でかつ憤りを感じる発言です。このことは、日本社会に根強く浸透する女性蔑視の思想の表れではないでしょうか。女性の管理職割合、役員割合、国会議員割合、男女の賃金格差と非正規雇用の割合など、先進国中の地位は目を疑うような位置にあり、このような契機には声を上げる必要があります。

Z世代へのマーケティングは「スタンスを持っていることが重要」

このマーケティングのプロと称される人物の発言は、彼が牛丼のターゲット層としたZ世代(1990年代~2010年生まれ)に受け入れられることはないのではないか。若者層への惹きつけ戦略で重要とされる「企業理念への共感」、「企業がスタンスを持っていること」の重要性から考えると真逆です。地方から都会へ出て生活をする若い女性たちは、今後このような思想がある企業の食事には縁がなくなるでしょう。上層部が持つマーケティング戦略がこのように若者に対して侮辱的な企業のサービスや製品をZ世代の若者が購入することはないと思います。同社が、今回の発言者に対して迅速に採った決断及び行動は適切であったと思います。

English follows.

July 3, 2022

Yoshinoya’s Full-Time Director and General Manager of the Planning Division’s disparaging remarks about Japanese women symbolize

Why is this expression necessary?  The strategy of narcotics use for virgin girls?

In a marketing course for working people at Waseda University lectured in April 2022, it was reported that Masaaki Ito, full-time director and general manager of the Planning Division, spoke of Yoshinoya’s measures to increase sales of its beef bowls to women in their teens and 20s, who are expected to be mainly students who need to reduce their food expenses or working people without high incomes, in urban areas, in terms that were a metaphor for the low economic and social status of women. The report said that the company’s policy to increase sales of Yoshinoya’s beef bowls to women in their teens and 20s, who are expected to be working adults who do not have much income, is a metaphor for the low economic and social status of women. Yoshinoya Holdings Co., Ltd. immediately passed a resolution to dismiss the director and made it public.

Symbolic of Gender Issues in Japanese Society

Depending on how one interprets it, one can see how these male directors view women in an economically and socially low light, making them a generalized “target group. Shabu-zuke is a cloaked term referring to drug abuse, and was clearly inappropriate for describing “the state of liking and repeatedly wanting to eat beef bowls. At the same time, she also referred to her place of origin as a woman who came from a rural area and did not know what was right or wrong. By saying “These women eat Gyudon, beef bowl meals while waiting for a man (when she finds someone to date eventually) to buy her an expensive meal,” is the woman clearly stating that even if she continues to live in the city, it will be difficult for her to become financially independent? This statement is both offensive and indignant. This is an indication of the contempt for women that permeates Japanese society. The position of women in management positions, the percentage of board members, the percentage of Diet members, the wage gap between men and women and the percentage of non-regular employment, and other positions throughout the developed world are in eye-popping positions, and we need to speak out on such occasions.

Marketing to Generation Z is about “having a social stance”

This statement by a purported marketing professional may not be acceptable to Generation Z (born in the 1990s-2010), which he has identified as the target demographic for Gyudon. This is the exact opposite from the importance of “sympathy for the company’s philosophy” and “the company having a social stance,” which are considered important in the strategy of attracting the youth demographic. Young women who move from rural areas to live in the city would not choose to eat at such an enterprise. It does not seem that the youth of Generation Z will buy the services and products of a company whose marketing strategy is so insulting to the youth as this one held by upper management. We believe that the decision and action taken by the company to quickly address the speaker was more than appropriate.  (This is the end of article).

インドで女の子誕生を祝福し森を育てる”111本の木”

女の子の誕生は歓迎されない村

私は、週末に図書館に立ち寄り新刊を何冊も借りました。子供用の読書室に偶然入るとおすすめ図書の陳列があるので何気なく、手に取った本がインド出身のリナ・シンが著した「111本の木」です。内容は、衝撃的であり心が打たれました。ここで描かれているピプラントリ村村長のスンダルさんという男性の行動に敬意の念を禁じ得ません。インドの社会的、文化的につくられた男女の差、女の子に誕生を喜ぶことができない悲しい慣習と現実がありました。

この本の素晴らしさは、このジェンダー課題を評論するのではなく、ドキュメンタリーとして、村長のスンダルさんが取った勇気ある一つひとつの具体的行動が、子供たちにもわかりやすく描かれており、成果まで表現されていることです。また、ジェンダー課題のみならず、自然破壊に抗い、村人と協力して木を植えることで自然保全にも、また新しい事業を村人が行うことで女性を含む村人の経済的自立まで促すという筋の通ったリーダーシップが描かれています。

植林・貯金・女性の児童婚に待った!

「111本の木」は、インドのある村の実話を紹介する力強い作品です。ジェンダーや自然破壊の課題は、インドに限った課題ではないことは、自明です。アフガニスタンを含めイスラム圏の一部の地域では、児童婚や教育機会の制限など女性を抑圧する文化的な慣習を持つ国があります。日本でも、OECD諸国の中では、男女の賃金格差や職場での管理職に占める割合、女性国会議員数の割合など驚くほど女性の位置づけが後進的です。男性が「主」で女性が「従」という家父長制の考え方が根深く浸透しています。

やり抜くリーダーシップ

世界の他の地域でも、日本でも画期的な施策を打ちだし、やりぬくリーダーシップが求められています。国を問わず、各々の地域が「スンダル村長」を発掘、育て、具体的な施策をやり抜くようにしてはどうか。この子供向けの絵本は、魅力的なメッセージを発信しています。

 

生活者の視点 コロナ禍と高齢者

80歳になろうとする一人暮らしの叔父は、コロナ禍中に外出が制限され、こどもたちも感染防止のため会いに来ることを控えたため、口数も減り、身体能力機能はあるのに何をするにも意欲がなくなってしまいました。服も着替えることや入浴も自分からはする意欲がないというのです。久しぶりに会って、兄弟姉妹が幼かった頃の思いがけないエピソードや現役時代のスイス旅行の話をすることで新しい発見がありました。コロナ禍は、高齢者の命を守るために人との接触を制限するように働きかけがありましたが、一方で、高齢者にとってかけがいのない他者との交流機会を奪ったことも事実です。私は、コロナ禍が収束に向かう中、在宅介護や施設介護、そして行政の高齢者への支援をする部局など関係者が施策を打つときが来たと感じます。地域社会のあらゆるマンパワー、ソーシャルキャピタルを総動員して、周囲の高齢者とまずは積極的に「会話」しましょう。自分の叔父がそうであったように、高齢者との会話から若輩者が得ることがあります。あなたの近所にもいらっしゃるはずです。