WHX World Health Expo in Dubaiの規模と来場者の概要
WHX Dubaiは、1975年から続くArab Healthが再ブランド化したものであり、中東・アフリカ・アジアを含む広域からヘルスケア関係者が集まる医療機器,医療システム,医療用具に加えてウエルネス製品の展示会である。
2026年の会場はDubai Exhibition Centre(DEC)で、来場者が20数万人おり、開催4日間を通して盛況であった。
主な規模感(数字は主催者発表・公開情報等を基にした概数)
・出展者数 約4,800社(2025年は約4,300社,180か国以上,33国際パビリオン)
・来場者数 約20万〜25万人規模(2025年実績ベース)
・会場 Dubai Exhibition Centre(DubaメトロExpo City駅から徒歩数分)
・展示面積 約7万㎡規模で前年から拡張
Japan Pavilionのブースで4日間立ち会った感覚としても、来場者の流れは朝から夕方までほぼ途切れず、一部の時間帯は「人の波を縫って移動する」ような混雑ぶりであった。
来場者の傾向(Japan Pavilionから見た定点観測)
Japan Pavilion内の一ブースとして対応した範囲ではあるが、名刺交換や口頭でのヒアリングを通じて、来場者の国籍分布には一定の傾向があった。
定点観測レベルでは、インドとUAEからの来訪者が最も多く、全体の約4割程度を占めていた。次いで、サウジアラビア、パキスタン、オマーン、レバノン、イギリスなどが続いた。
商談内容としては、単なる製品紹介よりも展示側が明確に「Distributor WANTED」を打ち出し、来場者は「うちの国でこの製品を(できれば独占的に)扱いたい」というオファーが大半であった。さらに、「デモ機を借りられるのか購入するのか」「自分の国での医療機器や医療用具の輸入規制への対応ステップ」に踏み込んだ質問が多く、展示会を新規取引の“入口”というより、「具体的な案件の詰め」に活用している来場者が少なくなかった。なかには、日本ブランドへの信頼を熱く語られる来場者もいて、「我が国で日本製のものをもっと導入したい」というDistributor経営者が少なからずいた。
展示企業の配置と特徴
North Hall:大手ヘルスケア企業のフラッグシップゾーン
North Hallは、グローバル大手ヘルスケア企業が単独ブースを構えるエリアである。
Siemen,Philips,GE HealthCare,Fujifilm Medical,日本光電などが代表例であり、それぞれが大型のデモスペースやカンファレンスコーナーを設け、最新のイメージング、診断ソリューション、デジタルヘルスプラットフォームなどを包括的に訴求していた。
会場を歩きながら感じたのは、「AI」「ワークフロー最適化」「統合プラットフォーム」が各社共通のキーワードになっていることだ。単品の機器というより、病院全体の運営や診療プロセスをどう設計し直すか、その入口としての展示という位置づけが強まっている。
South Hall:公的機関・各国パビリオン・中堅・スタートアップ
South Hallには、UAEの保健省などの公的機関、海外から健康診断や治療で医療ツーリズムを誘致する医療機関・ヘルスケアシステム、さらに各国のヘルスケアパビリオンが集約されている。
各国のヘルスケアパビリオンは中堅企業やスタートアップが中心で、医療機器、医療用具、医療系アプリケーション、EHR/EMRなどの病院情報システム、ウェルネス系サプリメントまで幅広い製品・サービスが並ぶ構成だ。日本パビリオンは約15社で構成され、長野県パビリオンは別途参画していた。アジアでは、韓国、台湾、中国パビリオンを始め、トルコやスペイン、フランスやポーランド含む欧州、米国、ユタ州、南米からブラジルも参加していた。
一方で、臨床検査・ラボラトリ系や医薬品関連の企業は、同時期に同市内で開催されている別の展示会に分かれており、WHX本体ではそれらのプレーヤーは限定的である。
実際にSouth Hallをラウンドしていると、「デジタルヘルス」「遠隔医療」「ウェルネス」など、比較的規制負担が軽い領域で新しいプレーヤーが入りやすい構図がより鮮明に見えてくる。
会場内のサポート施設と運営面の印象
会場運営面で印象的だったのは、展示ブース以外のサポート機能が非常に充実している点である。
-
飲食:会場内には複数のフードトラックやカフェコーナーが点在し、短時間で軽食やコーヒーブレイクが取れる。商談の合間に立ち寄れる「カジュアルな打合せスペース」としても機能していた。抹茶ラテは、人気のようだった。
-
印刷センター:会場内には、いわばUAE版Kinko’sのような印刷サービスがあり、ポスターの追加印刷、配布用リーフレットの刷り増し、名刺の追加発注など、会期中の“困りごと”に即応できる体制が整っていた。
-
祈祷室:イスラム文化を尊重した設計として、地下には大規模な祈祷室が完備されている。国際展示会でありながら「ローカルの生活リズム」が自然に織り込まれていることを実感した。
こうしたハード・ソフト両面の設計が、長時間の商談やネットワーキングを支える「インフラ」として機能しており、出展者としてもストレスが少ない環境だった。
参加者・出展者にとってのアウトカムをどう見るか
WXHは展示者と来場者が専用アプリを活用し、名刺交換せずともQRコードで参加者バッジをスマートフォンでスキャンすると来場者の属性や連絡先がエクセルでリアルタイムに出力できる。中東では、電子名刺の交換が主流となるなどリード獲得の効率化が進んでいる。展示会前から、来場者と事前に連絡がとり合える「つながりリスト」が入手できた。Japan Pavilionのブースとして見ても、4日間でかなりの数のリードを獲得できたことは事実だ。
一方、現場での感覚としては、それ以上に「どの国・どのタイプのプレーヤーから、どのような問いが投げかけられたか」という質的な情報こそが、中長期のアウトカムを左右する材料になると感じた。
インドやUAEからの来場者が厚かったこと、日本発のソリューションに対して「ローカルパートナーとの連携」「規制対応」「価格・支払い条件」に踏み込んだ質問が多かったことは、今後のビジネスモデル設計や海外展開戦略を考えるうえで無視できない示唆を含んでいる。
今後は、展示会で得られた定量・定性データを整理し、今年度中に商談を顕在化させること、また次年度以降のWHXや他地域の展示会にどうフィードバックしていくかが、出展者側にとっての投資対効果の明暗を分けると感じている。


分責 Brighton International Medical Enterprise(IME)
